駐車場に着き、
車を降りようと
ドアノブに手をかけようとすると、


「希」


その言葉に
胸が高鳴り、黒崎伸治の方に顔を向けた。


「あー・・・いや・・・
あさってには入居できるらしいから」



「あ、うん・・・ありがと
じゃあ・・・」


「あぁ、あっ、何かあったら
電話・・・」


「うん・・・」


番号知らないけど・・・・

聞いてもいいんだろうか。


「携帯出して」


「え、うん?」


携帯を出すと
そのまま黒埼伸治の手に渡り
手際良く入力すると



「番号入れといたから
何かあったら電話しろ」


「うん、ありがとう」


そう言いながら
外に出ようとする私の手を
なぜか掴まれ


振り向くと、


「あ、わり。気をつけて帰れよ」

そう言って
離された。


「うん、じゃあ・・・」


「あぁ」


外に出て歩き始めながら
何だか、寂しくて
泣きそうになる。

期待なんかしたらいけないのに・・・


私は、何を期待してるんだろう。