女の人は苦しそうに荒い呼吸を繰り返すだけ。
多分、痛くて返事ができないんだ……。
ヤバい、本当にヤバすぎる!
「えっと、119って何番だったっけ?!」
スマホを出しても、救急車の番号が浮かんでこない。
頭が真っ白になって、パニックに陥るってこういう事なんだ。
自分で番号を言っている事にすら気づかないんだもの。
女の人が苦しんでいるのにオロオロとしかできない私。
段々怖くなってきて、涙が浮かんできた。
ま、間に合わなくて大変な事になっちゃったら、私のせいだ……。
どうしよう……っ!
「落ち着けよ」
スマホを握りしめた時、男の声がしたと同時に肩をつかまれた。



