私は改札口へと向かう。
佐和子たちの姿はもうなかった。
ホッとしながら改札を抜けると、
「大神じゃん」
後ろから肩をたたかれて、名前を呼ばれた。
その声にドキッと心臓が反応する。
「み、宮田……」
「大神も入学式の帰り?」
振り返ると、中学卒業までクラスメイトだった宮田の姿があった。
初めて見る、宮田の制服姿。
A高校の制服が、とてもよく似合っている。
「う、うん。そうだよ……っ!」
入学式には出させてもらえなかった……なんて事は言えず。
私は笑顔でうなずいた。
ひきつってない?大丈夫?
自分自身にそう、問いかけながら。