殴られる……っ!
そう思い、私は思わず顔をそむけてしまった。
ガラガラガシャーンという机が倒れる音がする。
「やっ……」
思わず耳までふさぐ。
何も見たくない、何も聞きたくない……っ!
だけど、トントンと肩をたたかれた。
「見ても平気だよ」
龍斗の声が聞こえて、私は朱雀の方を振り返った。
倒れていたのは朱雀ではなく、さっきの石島という男。
クラス中がシーンと静まり返る中、石島はだらしなく大の字になって伸びていた。
「オレを誰だと思ってんだよ?……このクラスにもオレが誰だかわかっててケンカ吹っ掛けようなんて考えている奴いるのか?」
こぶしを作りながら、朱雀は周りを見回した。



