周りの人たちは誰も止めようとはせず、ただこの状況を見守るだけ。
龍斗も頬杖をつきながら、楽しそうな顔をして見つめている。
「……いや、やめておく」
「つまんねーの。売る勇気がねーなら、吹っ掛けてくんな、バーカ」
相手がすぐに引き下がったので、朱雀はそんな言葉を吐き捨てる。
明らかに挑発されているというのに、向こうはとびかかっては来ない。
……もしかして、朱雀も龍斗もすごい人?
心臓にかなり悪いんですけど……。
『新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます』
2人を見ていたら、突然スピーカーからそんな声が聞こえて来た。
何、この学校っ!
お祝いの言葉を放送してくれるなんて、すごい……!