「ごめんね、朱雀。お待たせ!」
空き教室のドアがガラッと開いて、ジャージに着替えた響が出て来た。
体育用に髪もゆるく二つに結んでいる。
普段あまり見ない、響の姿にガラにもなくドキッとしてしまう。
体育のジャージに髪をゆるく二つだぞ?
これを可愛いと言わずに何て言う?
「朱雀?どうかした?」
「あー、いや……」
キョトンとした顔で聞き返す響。
今すぐ思いっきり抱きしめてやりてーっ!
いやいや、こんな事で動揺するなんて、ダサいだろオレ。
「あ、時間ないし早くグラウンドに行かないと!」
「ああ、そうだな……」
時計を見ながら、響が急かした。