「んじゃ、オレ達も行こうか」
「……うん」
差し出された手をにぎって、私も朱雀と歩き出した。
数十分前まで、恐怖で震えていたというのに、今は本当に心が落ち着いた。
きっと朱雀のそばにいるからだと思う。
出会っていなかったら、こんな風にキケンな毎日を送る事はなかったかもしれない。
だけど、朱雀を好きになっていなかっただろうし、何より、人を好きになるぬくもりすらも知らなかったと思う。
「朱雀……」
「ん?」
「私と出会ってくれて、ありがとね」
自然と口からこぼれる言葉。
朱雀はフッと笑うと、そのままキスをした。



