全然気が付かなかった。
「言っただろ?お前はオレを信じていればいい……って」
「朱雀……」
朱雀の笑顔にホッとして、私は彼にしがみついた。
本当に怖かった……。
もうダメかと思ったし。
「ごめんな。響に怖い思いさせて……」
「いい。朱雀が来てくれたから、それでいい……」
ギュッと朱雀は力いっぱい抱きしめてくれた。
本当にこの場所は安心できる。
力強くて、温かくて……。
少し、落ち着いた後、泣きはらした顔の佐和子の方を向いた。
「佐和子もありがとう。怖かったよね……?」
「む、夢中だったし、別に……」
「素直になりなよ?こんな時くらい」
ポンッと龍斗に背中をたたかれて、佐和子の顔が少し赤くなる。



