「俺の出番はなさそうだね」
龍斗の冷やかな声。
よく見えなかったけれど、彼も来ていたみたいだった。
「大丈夫?」
「うう……っ」
龍斗に声をかけられて、なぜか佐和子が号泣する。
「あー、そんなに泣かないで。あ、でもこの前、俺が怖がらせたんだったっけ」
盛大に泣く佐和子の頭をポンポンとなでる龍斗。
まるで、子どもをあやす母親のよう……。
「浅井。陽子に伝えておけ。今度、ふざけたマネをしたら、お前もつぶすってな」
「うっうわああああああっ!」
浅井が逃げ出すと、他の奴らもクモの子を散らすように逃げていく。
公園の外に止めてあった車に慌てて乗り込むと、車は急発進した。



