落ち込んだままの佐和子と陽子さんは、駅ビルの方へと歩いて行ってしまった。
二人が見えなくなった後、龍斗はため息をつく。
「響ちゃん、陽子ちゃんには気を付けないと」
「え?」
龍斗の言葉にドキッとする。
「あの子、見かけによらず腹の中、真っ黒だからね」
「……朱雀と何で別れたの?」
あんなに可愛いのに……。
「あの子、隣町の中学校なんだけど、中学の時にナンパしたんだよね」
「ナ、ナンパ?!」
「そう。それで、友達として一緒に遊ぶ仲になったんだけど、ある日、陽子ちゃんの方から朱雀に告白してきたんだ。その時、朱雀も彼女いなかったから、オッケーしてさ」
聞きたいような聞きたくないような……。
私の心はかなり複雑だった。



