「じゃあ、帰ろうか」
「あ、うん……」
「あ、ま、待って!」
龍斗の言葉に返事をした時、慌てたように陽子さんが制止する。
「勝手でごめんなさい。私、朱雀君にもう一度会いたいの……。会わせてくれないかな……?」
「……え?」
心臓をわしづかみにされたかと思うくらい、ギュッと痛くなった。
目をウルウルとさせて、私を見つめる陽子さん。
こんなに可愛い子なのに、朱雀はどうして別れを告げてしまったのだろう……?
「あ、う、うん……」
子犬のように見つめられたら、断る事はできない。
私は思わずうなずいてしまった。



