「さて、帰るか」
「うん……」
大きく伸びをした龍斗に、私は小さくうなずく。
もう大丈夫なのかな?
完全に吹っ切れてはいないと思うけど……。
私が一緒にいても何もできないしなぁ。
「あれ?響?」
「え?」
名前を呼ばれてドキッとする。
声の主にいい印象を持っていなかったから。
おそるおそる振り返ると、そこに佐和子がいる。
「あれ?青葉君?」
「えっ?陽子ちゃん?」
佐和子の隣にいた、A高校の制服の女の子。
龍斗と指を指し合う。
「陽子、知り合いなの?」
「うん。元カレの親友」
佐和子の問いかけに、陽子と呼ばれた女の子が答えた。