「龍斗……」
「ああ、やっべ。気を抜いたら、出ちまった。……朱雀にはナイショな?」
いつものように笑うと、龍斗は指で涙を拭きとった。
「あの……」
「俺もさ、絶対に新しい恋探すから。響ちゃんが今日、いてくれてよかった。ありがとう」
「でも、私は何もしてない」
「朱雀の前じゃ泣けなかったんだ。……女の子の前で素顔を見せたおかげだと思う。かなり心が軽くなったから。本当に……」
龍斗はベンチから立ち上がって振り返った。
確かに、さっきまでとは違って、晴れ晴れとした顔になっている。
「だから、大丈夫。ありがとう」
「……うん」
心が軽くなったのならよかった。