それっきり、龍斗は何も語らなかった。
私もこれ以上は聞けなくて、ただ黙って歩くだけ。
「あれ?龍ちゃん?」
私の家の最寄り駅。
改札を出たところで、女の人の声がした。
龍ちゃん……?
隣の龍斗をチラッと見えると、彼の顔はこわばっていた。
「あ、もしかして彼女さんかな?」
「あー、違うよ。この子は俺の親友の彼女。色々あって、親友がいつも送ってたんだけど、今日は用事があって送れないから俺が代打で来ただけ」
綺麗な女の人。
ふわふわっとした長い髪が揺れる。
「初めまして。私、青葉美香です」
「あ、は、初めまして!大神響です!」
あ、何だ……。
龍斗のお姉さんか……。



