龍斗に送ってもらわなくても、1人で帰れるのに……。
そんな風に思いながら、朱雀を見たら、目があった。
「そうだなー。その方が安心だし」
そう言われて、私は石島の一件を思い出してしまった。
あの時も確か、朱雀は理事長室に呼ばれて、私は龍斗と一緒に駅に向かっていた。
でも、途中で石島につかまって……。
「今度は大丈夫だから。ちゃんと強い男だって証明してみせるから」
「う、うん……」
龍斗の言葉に私はうなずいた。
あの時、私のせいで龍斗は自分の力を出せなかった。
もちろん、弱いだなんて思ってない。
あの一件で石島はこの学校を退学になった。
朱雀は、ちょっとお説教をされたみたいだけど。
正当防衛とはいえ、やりすぎだって。



