ねえ。
過去の彼女にも、こうして同じように優しく肩を抱いたりした?
髪をなでながら、そっとキスとか……。
「響?」
「……ゴメン」
朱雀の手を肩から放して、私はお弁当箱を片付ける。
考えたら、気が狂いそうだった。
こういうのって、嫉妬って言うんだよね……。
嫌だな。
見知らぬ元彼女に嫉妬なんかして。
私は朱雀に想われて、そばにいるだけで幸せなのに。
過去の事なんてどうだっていいじゃない。
どうだって……。
「悪い、響。また呼び出しくらった」
放課後。
靴をはきかえたところで、朱雀がスマホを手にして苦い顔をした。



