何も言わなくていい……って。
明らかに私の発言で、空気が変わっちゃったんだし。
本当に謝らなくていいの?
「それから今後、龍斗に好きな人とか聞くのは禁止だからな」
「う、うん……」
これ以上踏み込んではいけないエリアなんだって、理解はした。
入学してから、龍斗ともそれなりに仲がいいって自分では思っていたけれど、全然知らない事ばっかりだ。
……考えてみたら、朱雀の事もよく知らないかも。
好きな食べ物とか、家族構成とか。
好きな芸能人とか、趣味とか……。
過去に彼女いたのかすらも……。
「どうした?オレは別に怒ってるわけじゃないぞ?」
「え?あ、ううん」
黙り込んだ私の肩をそっと抱いた朱雀。



