「情けない話、大神があの男に連れて行かれたのを見て、怖くなったんだ。けど、俺はここに何をしに来たんだって、思い直して……。それで、大神のスマホを拾ったら、天堂君から電話があって……」
そう言いながら、宮田はズボンのポケットから私のスマホを出した。
「これでチャラになると思わないけど、守らなきゃって本当に思ったんだ。小山田の事、本当にごめん。それと、大神の事、悪く言って本当にごめん……」
「……周りからどんなにひどく言われても、宮田だけは、違うって否定してくれると思ってた」
頭を下げる宮田に、私はそう言った。
さっき、助けてもらった事は本当に感謝している。
だけど、それ以上にあの時、心には相当深い傷が刻まれた。



