「朱雀……。さっきは、ありがとう」
「あ?何が?」
私の言葉に、朱雀は足を止めて振り向いた。
「さっき、みんなの前で、不正じゃないって言ってくれて。それに、小山田の事も……」
「ああ。あれはオレ自身もムカついてたから、気にすんな。それに、オレは響の事を守りたかった。ただそれだけだ」
ドキッ……。
フワッと優しく微笑む朱雀に、心が反応する。
昨日の不意打ちのキスの事もそうだけど、この人はどうしてこんなにも私をドキドキさせるのだろう?
ズルいよ……。
私ばっかりドキドキさせられるなんて。
「あれ?響ちゃん。顔赤くない?」
「あ、赤いわけないでしょっ!」
龍斗に指摘されて、私は怒鳴り返した。
……うん。
今ならハッキリ言える。
私は、朱雀の事が好きなんだ……。