空き教室を出て、階段をくだる。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいって……」
「安心しろ。誰も見てねーし。見てたとしてもオレのだってアピールできる」
ニッといたずらっこのような笑みを浮かべた朱雀に、不覚にもドキッとときめいてしまった。
こんなにカッコいいのに、何で私なんかを好きになるの……?
『F組に女子が1人混ざったから、天堂も青葉も親切にしてくれてるだけなんだからね』
恭子と千絵の言葉がよみがえる。
「これから、少しずつでいいからオレの事をそういう対象で見てくれればいい」
「……うん」
少し恥ずかしくなって、うつむく私。
この日から、ヤンキー王子とのラブ戦争が幕開けとなったんだ……。