タクシーが出発したのを見たら、ため息が出た。


お姉さん、何も異常がないといいけど……。



「怒鳴って悪かったな。大丈夫か?」



そう言われて、顔を上げると彼が私を見下ろしていた。


私よりもずっと背が高い。


今はにらんだ顔でも怒った顔でもなかった。



「あ、はい……」


「つか、この辺じゃ見ない制服だよな?」


「……あっ!」



彼の言葉に私は大変な事を思い出した。


時計を見て、サーッと血の気が引いていく。


すでに10時を過ぎている。



試験の開始時間は9時なのに……。