そうだった。
龍斗が席を外している間に、私は勝手に帰っちゃったんだ。
朱雀には謝ったけど、龍斗にも謝らないと。
「私のほうこそごめんね……」
「いや、響ちゃんが謝る事じゃないし。それとこれ、お釣り」
龍斗が小銭を差し出してきたので、私は手を広げて受け取った。
「嫌な思いさせて、本当にごめん。そんな思い、もうさせないから」
「ありがとう。でも、その言葉は本命にだけ言ってあげてね」
また胸キュンしちゃうところだった。
昨日の恭子と千絵のように、こんな事で舞い上がっていたら、他の女の子にも突っ込まれてしまうだろう。
「……響ちゃん、意外と残酷な事言うねー」
「残酷なのはどっちよ?」
私は間違った事は言ってないと思うけど?



