「でも、お腹の赤ちゃんは幸せですね!だって、お姉さん、すごくすごく苦しそうな顔をしているのに、お腹をずっと優しくさすっているんだもん。きっと、赤ちゃんにもその思い、届いてますよ。生まれる前から愛されてるって……」
「あ、ありがとう……」
「しゃべらなくていいですよ。こんな事しかできなくてごめんなさい」
私が言うと、お姉さんは首を横に振った。
そして、1台のタクシーが私たちのそばに急停車した。
中からさっきの男の子が降りてくる。
「付き添いますからっ!病院どこですか?!」
「××産婦人科です……」
彼はお姉さんを抱き起しながら、タクシーに一緒に乗り込んだ。



