「い、いたいいたいー」
「おい、オレに謝れよ。黙っていなくなってごめんなさいって」
「ご、ごめんにゃひゃい……」
頬を引っ張られているせいで、上手くしゃべれない。
朱雀はムッとした顔をしながらも、私の頬から手を放した。
「……何度電話してもメールしても反応なかったから、お前の家に向かっていたんだ」
「私の家に……?だって、教えてないじゃん……」
「お前の家、知ってるよ。オレは理事長の孫だぞ?」
孫だって言われるの嫌だって言ったくせに、都合のいい時だけ使うんだから……。
つねられた右頬をさすりながら、私は朱雀を見る。



