卒業した中学の学区内を歩いていたら、誰かに会うと思って、必死に学区外に出た。
だから、ここがどこかって明確に示すものは何もなかった。
「家の近くにはいるんだけど……」
『すぐに行くから、場所を言え』
「……え、えーっと……。桜児童公園……?」
『わかった』
ブツッと通話が切れる音がした。
私の目の前に、『桜児童公園』と書かれた看板があり、小さい公園が確かにあった。
夕暮れ時だから、公園内には誰もいない。
滑り台とブランコとベンチが一つあるだけの、小さな公園。
私はとりあえず、ブランコに腰をかけた。



