「もうすぐタクシー来ますから、大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます……」
女の人は苦しそうに呼吸をしながら、そう言った。
こういう時、どうしてあげたらいいんだろう?
まだ中学生だし、こんなの学校じゃ習わない。
でも、そんなの理由にはならないし、とにかく私が不安になっちゃダメだよね?!
こういう時こそ、明るく明るく!
「今、赤ちゃんも頑張ってるんですねっ!私もこうして、お母さんから生まれて来たんだなって思うと、本当にお母さんってすごいですよねっ!」
「……っ」
「私もいつか、お姉さんみたいに頑張れる時が来ますかね?私、根性ないし、すぐ諦めちゃうし」
手を強く握って私はハハハと笑った。



