振り返ると、制服姿の男の子が立っていて、私をにらんだ。
にらまれた事に驚いて、浮かんできた涙が引っ込む。
彼は私の肩から手を離すと、女の人のそばでかがみこんだ。
「今、タクシー呼びますから、落ち着いて下さい」
その声に女の人は何度かうなずく。
「タクシー拾ってくるから、ここで待ってろ。お前が不安になってると、その人も不安になるだけだ。励ましてやれよ?わかったな!」
「は、はいっ!」
命令口調で言われて、私は慌てて返事をした。
彼はすぐに大通りの方へと走っていく。
私は女の人のそばにかがみ、彼女の手をとった。



