少女は見た事がない世界に戸惑い、辺りを見回す。


「どこよ此処ー!!」


少女が戸惑うのも無理はなかった。そこの住人達には、角や動物の耳が生えていたのだから。


「そなたが今生の“結びの巫女"か。」


「誰?!」


少女が振り返ると、そこには長く美しい金髪と濃い綺麗な空色の瞳をもった25・6歳の美しい男が居た。しかし、この男も普通とは違った。何故なら、男の頭からは狐のものと思われる金の耳が、腰下からは狐の9本の狐の尾が生えていたからである。


「我は天狐。名は黄玉だ。」


「てっ、天狐?」


天狐って漫画や小説に出てくるあの天狐?漫画では妖怪のトップや狐達をまとめる天狐?まさかそんなはずは…と少女は思った。しかし、男を見てみると耳と9本の尻尾が動いていた。


「動いてる…て事は本当の本当に天狐?!」


天狐「先程そうだと言ったろうが。そなたはこの世界の事を何も知らぬ様だ。我の屋敷に来い。この世界の事をそなたに教える。」



帰り方もわからないので、少女は天狐に着いていく事にした。