「いい風……」 春の暖かい風が佐倉さんの長い髪を靡いては、彼方へと姿を消していく。 「この風は何処まで吹いてるのかな?」 「何処まで?」 僕は突然の質問の意味を理解出来ずに、問い返す。 「この空は何処まで続いてるのかな?」 佐倉さんは僕の言葉には答えずに、そう言った。 僕は何も言わずに、ただその後ろ姿を見つめる。佐倉さんの言葉は、僕に対する問い掛けではなく自分自身への問い掛けに聞こえたから。 どれくらいそうしていたかはわからない。