グラウンドの真ん中で、高々と炎が立ち上がる。

 その勢いの良さに、周りにいた生徒から歓声と驚きの声が出た。

 別に、火事とかそんなんじゃない。ただの、キャンプファイヤーだ。


 昼間に文化祭が終わって、夜の6時から行われる後夜祭。

 そのメインイベントのキャンプファイヤーのために、規則正しく積まれた木材。ちょうどそれに先生が着火したところ。

 着火してすぐに炎が立ち上るから、先生もちょっとびっくりしていた。

 へっぴり腰でかっこわるい。
 あれ、クラスの担任だし。何やってるんだか。

 少し呆れて、それからキャンプファイヤーに目を向けた。

 パチパチ、パチ、パチ。

 炎はすっかり木材を巻き込んで、火柱が出来上がっている。

 オレンジと黒が混ざりあった空の下。
 そこに夕焼けとはまた違ったオレンジが、空に向かって伸びる光景。

 少し、神秘的だと思えた。日が完全に沈んで辺りが暗くなれば、もっと綺麗だと思う。
 黒にオレンジは、映える気がしたから。

 グラウンドには、徐々に人が集まってきていた。
 みんな目立つ光に誘われるように、校舎からグラウンドへ向かっている。

 浮かれた足取りの人達は、ちょっと緊張した面持ちで。でもどこか嬉しそうに見える。


「楽しみだねー」

「ドキドキする~」


 そんなお祭り特有っていうか学校行事特有の、盛り上がった声とムード。

 それは非常階段にいてグラウンドを見下ろすあたしのもとにも、しっかりと届いた。