後の祭り、祭りのあと




 あたしは二人から少し離れたところにある倉庫の影に隠れていた。ちょうど近くを通った瞬間に聞こえた声に反応して、思わずそこに身を潜めたんだ。


「ね、ダメかな?」


 迫るような女の子の声に心臓が焦り出す。たまたま告白現場を見てしまったことでもなく、雄大が告白されていることでもなく、その声に絶対的な自信を感じたから。

 隣のクラスの女子。去年は彼女も、あたし達と同じクラスだった。そして雄大ととりわけ仲が良い女子の一人だ。

 雄大との仲の良さはあたしとさほど変わりない。でも、彼女の方が雄大への恋愛感情を丸出しにしていた。視線も態度も明らかに好意を持ったものだってことは同じ人を好きなあたしにだけでなく、たぶん本人も気付いていたと思う。さすがに、そこまで雄大は馬鹿じゃない。

 だからこそ、いつも焦っていた。ヒヤヒヤなんて言葉では表せられないぐらい、焦りはいつも身近に潜んでいた。

 ましてや彼女は見た目が可愛い。そんな彼女には自信が満ち溢れているのか、雄大に告白する声がとても堂々としていた。

 これは、さすがにまずいかもしれない……。
 普段の焦りを遥かに超える動揺と不安が押し寄せてきて、声を漏らさないように手で口を覆った。

 雄大が今までに女子に告白されているのは知っていた。聞きたくもないのに、わざわざことあるごとに自慢してくるから。

 でも雄大はその告白を全部断っていた。理由を聞こうとするたびに上手くかわされてしまって未だに真相はわからないけど、あたしはいつも雄大が断ったという報告をしてくれるたびに安心していた。

 だけど今回の彼女は、今までの女子よりもかなり上手だ。仲の良さも、見た目も、その声に宿る意思の強さも。
 これなら、雄大が告白を受け入れるなんてことも……あり得るかもしれない。