次の日、あたしは梓と部室で新入生歓迎会でやる劇の小道具を探していた。



今回やる劇はコメディで、カツラやら何やらたくさんの小道具が必要だ。




「あ、水依のピンかわいい!」



「これね、8年前のあの封筒に入ってたの。」



「あー!例の子の!」



梓にはあのことを話したことがあった。



「そうそう!昨日見つけてびっくりした。」





雑談をしながらだと時間は早く進む気がした。



「よし、これぐらいでいいかな?」



「うん。梓、先に半分持って戻ってて。あたし、教室に忘れ物したから。」



そう言ってあたしは意外と重い段ボールを抱えて、夕暮れの廊下を教室に向かって歩いた。