********* 「あの子は偉いわ。本当なら逃げ出してしまいたくなるほどの、ううん逃げても良いほどの痛みなのに」 「あの子って立花圭子ちゃんですか?」 「そうよ」 「そんな暗い顔しないで下さいよ!福崗さん!次の現場行きましょう!」 「分ってるわよ!次って、生存者の中橋くんの家だっけ?矢城」 「はい」 「よっしゃ!じゃ行くぞ!」 「それでこそ福崗さんですよ!」 ――その日は夢を見なかった。