君を抱く手なのに傷付けそうで



(四)


嫌なものを見てしまった。


またあの喫茶店。最適な勉強場所に選ばれたのか、今日もまた、彼女は友人とノートを開いていた。


今日は複数。男女隔てなく接する彼女は、友人一同からの人望が厚いのかもしれない。


「……、っ」


舌打ちが出た。
そうして足が自然と彼女のもとへ――


「……」


止めた。
何をやっているんだろうと、早々にその場から離れる。


嫌なものだった。まだ網膜に焼き付いている。あんなものを見せつける眼球を潰したいが、そもそもの原因は“これ”かとメガネを外す。


外して、落とす。
――踏みつけた。


見えなくても、メガネが使い物にならなくなったのは音で分かる。三秒後に後悔したのは当たり前だ。