君を抱く手なのに傷付けそうで



「……、ごめん」


「いえいえ」


膝をついたまま、座る彼女にすがりつく。


頭をよしよしと撫でられた。


「中身、見ないんですか」


見れば、革のメガネケースが出てきた。


「ありがとう」


「なら、これを外してくれませんか。ぎゅうっと出来ません」


その気になれば自分で外せるのに、あえて俺にやらせる彼女は、束縛を求めない。


もうこれっきり、と言われた気がした。


「離れているからこそ分かる喜びもあるんですよ。ずっと一緒にいなくても、ずっと愛しているのは変わりませんから」


「千花は、俺が昼間何しているかとか気にならないのか」