君を抱く手なのに傷付けそうで



「ここにいればいい。ずっと、ずっと。外に出ず、俺と一緒に死ぬまでいよう。

千花が好きなものを全部揃えるから。退屈なんかさせない、する前に抱き締めよう。

帰りたいとも言えなくなるよう、帰る場所を壊してでも、君をここに縛り付ける」


浅ましい、俺の願い。


言いながら、哄笑でもしたい気分になった。


だってもう、“そうする”から。


叶ったも同然の願い。叶わないとすれば――


「私が『イヤだ』と言ったら、あなたには後悔しか残らないんでしょうね」


愛する彼女に、こんなことをしてしまった後悔。


メガネを難なく外す彼女が、改めて俺を見る。


「私はあなたが好きです。そんな事実じゃ、足りませんか」