「…学校中の至る所に…忍ばせやがって。俺に対する嫌がらせかー?」
「……………。…あ!」
「どうやら思い出したようだな。」
「…はい。うわ…、全部出て来たんですか?先生鋭い。言い出しっぺは早瀬で……。男子の一部でそれをバラまいてました。」
「やっぱ早瀬かあ……。ったく…ロクなこと考えねーな。10年経っても全部は揃わねーんだよ。本来なら、あと1枚あるんだけど。」
「……『本来なら?』……。」
「生徒が捨てちまったのかな。それとも、誰かが…持ってるとか?」
「………。…どうでしょう?」
「…ま、とにかく…。お前らの遊び心の育ち具合は、しかと確認させてもらったよ。ソレ見て…楽しんでくれ。」
「はい、お預かりします。」
「………まだ見るなよ?こーゆーのは、みんなで一斉に見た方が、楽しめるもんだ。タイムカプセル的な?」
「……見ませんよ。」
「……わざわざ…悪かったな。お前だって忙しいのに。」
「…………。いえ、こちらこそお時間を取らせてしまって……。」
「……バーカ。嬉しいに決まってんだろ。」
「…………。」
目尻のシワと…
ヒゲ。
青春時代を見守ってくれた…恩師。
きっと先生がいたから……
楽しかった。
今なら、素直にそう言えるのに……、ね。


