ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。







「失礼します。」



4階の職員室。



その扉をノックすると……。





「お。遅かったな、稲守。」




矢代先生が、デスクにぼうっと座って…待ち兼ねていた。






「…まあまあ、座れ。」



接待用の小さなソファーに座らされて、




「失礼します。」




取り敢えず…腰を降ろすと。




「飲め」と、紙コップに入った珈琲を…差し出してきた。



「ありがとうございます。」






矢代先生は反対側の椅子へと座る。





「…………。緊張します。」



「ん?」



「なんか、個人面談してるみたい。」



「……はあ?立派な社会人がいつまでも惚けたこと言うなよ。今日はお前は客人!」



「……あはは、そうですね。じゃあ、早速なんですけど……コレ。遅くなって申し訳ありませんでした。」




「ん。」




差し出した封筒を手に取って。


矢代先生は…くすりと笑った。





「………宛名書いたの、お前か?」




「いえ。」



「だろうな、この達筆な筆字は恒生の字だ。わざわざ昨日書いてもらったのか?」



「はい。私の字では国語科担当の矢代先生に失礼かと思って…。」



「そこ、気にするか?忘れてる地点でアウトだっての。でも…、まあ、お前らはそうやってまだ繋がってんだから…嬉しいもんだな。」




早速中身を取り出して…。


先生は、目を左右に動かしながら―…文字を辿っていく。





「……大体何人くらい集まる?」



「ええ…と、17人。」



「…立派なもんだ。俺、ギリギリまでわかんねーから…今すぐ返事はできないけど、代わりに…、コレ。」



「………?これは?」



A4サイズの…封筒。



中身はずっしりとして…重い。





「俺が行けなかったら、代わりにそれを皆に見せて欲しい。その中には…卒業の際に、半年経ったら近況報告しろって言った俺との約束を守った素直な生徒達が書いた―…手紙が入ってる。」




「……書いたっけ…。」



「残念ながら、幹事メンバーは全滅。」



「………。スミマセン。」



「あとそれから…、写真も入ってる。」




「………。…写真?」



「あーゆーくだらないことするのは…、早瀬かな。」




「……………。」