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「…紗羽ちゃんは…ココ。」
教室の入口に立って。
頭に定規をあてられる…私。
入口の木の枠部分に、うっすらと…線が刻まれる。
「…次ッ、早瀬。」
恒生さんに促されて。
私に代わって、今度は早瀬がそこに立つ。
同じように……線が刻まれて。
「………只今の試合結果を…発表します!」
恒生さんはなぜかレフリー気取りで…声を上げた。
「サッカー部所属、早瀬映志 対 帰宅部所属、稲守紗羽。注目の対戦カードにして最終対決。勝者は…………。…………………………………。………」
「はよ言えやっ。」
しんちゃんにぽかりと頭を叩かれて、
恒生さんは……ようやく、言葉を続ける。
「……勝者、……早瀬映志~ッッッ!その差なんと3センチ、最後の最後に……早瀬選手、驚異的なスパートをかけました!」
「………。…嬉しくない。たった3センチか…。」
早瀬は線を指でなぞって、眉を下げて…笑った。
恒例行事になっていた…
私と早瀬の背くらべ。
確かに最後の方には……
視線の高さが微妙に違くなっていた。
私の身長は……
前回と、ほぼ同じ位置。
「追い抜いちゃったね。」
「男子の成長期には敵わないなあ…。置いていかないでよ。」
「…………。……ん。いつでも待っててやるよ。」
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