翌日、
午後4時………。
私は、10年ぶりに、母校の校舎へと……
足を踏み入れていた。
私達が最後に過ごしたのは……
3階の端にある、狭い教室だった。
「……こんにちはっス!」
放課後だから、ほとんど人はいなかったけれど…
すれ違う生徒さん達は皆足を止めて、礼儀よく挨拶してくれた。
校風の良さが…見えてくる。
3階まで上ってくると、流石に…足が重くなってきていた。
「………。歳だな……。」
軽々と走って行けたはずの…階段。
「……………。」
ふと、気になって……。
10年前に、皆と別れたあの教室の前に…
立ってみる。
「………変わってないなあ……。」
開かれたドアから、
狭い教室の全貌が…見えていた。
あの窓から……、
サッカー部が練習する光景を…よく眺めていた。
最後の席は、窓際の一番後ろ。……特等席。
同じ列の一番前に、
真っ黒に染めた君の頭が…見え隠れしていた。


