「あの時、二人なんかあったの?」
みっちゃんの声が……
現実へと、引き戻す。
「………。アイス…食べた。」
「……で?」
「それだけ。」
「………え。それだけ?」
「うん。」
「………へぇー…。それなら早瀬も素直に言えば良かったのにね、彼女に。」
「…………。」
「変なやつー……。」
あれから……、
夏休みになって。
早瀬はサッカーの大会で忙しく、
私達は夏期講習へと参加して……。
夏休みが明けるまで……
ほとんど、顔を合わせなかった。
その間に変わったことと言えば……
みっちゃんとしんちゃんが、付き合うようになったこと。
私は、やっぱり…、
教室の窓から。
君が、グラウンドを駆ける背中……、
その、背番号『10』を…、
追っているばかりだった。
……それだけ…だった。
何かが…変わるだなんて。
思いも…していなかった。


