コンビニに到着し、アイスを購入すると……。
早瀬は、私にそれをひとつ差し出してきた。
「……?私に?」
「うん。絶対旨いから…食べてみ。」
「……ありがとう。」
早瀬がくれたのは…、
シンプルなバニラ味のカップアイス。
「…な?自転車だと食えないだろ?」
コンビニの前に腰を下ろして、彼はそれを…食べ始めた。
「ここで食べるの?」
「………だって、溶けるじゃん。紗羽ちゃんも食べた方がいいよ。」
「…………。うん。」
私は彼の隣りにしゃがんで…
二人、黙々と…
アイスを食べる。
「……早瀬。」
「ん~?」
「これ、歩いて食べる物でもないよね。」
「…………。……旨いだろ?」
「うん、まあ……。」
味は……至って普通だった。
「旨いって言っといて。でないと俺、ちょっと恥ずかしいし。」
「……………。…『美味しいよ。』」
「……。棒読みじゃん。」
遠くから聞こえる…、蝉の声。
少しだけ溶けたバニラのアイス。
まだ幼くて、
青い時代の………
私達が。
そこに………いた。
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