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「バイバ~イ!」
土曜日の放課後……。
特進クラスだけが行う授業を終えて、いつものようにクラスメイトへと挨拶を交わす…みっちゃんと私。
それぞれに帰宅していく中で、早瀬だけは…まだ、教室に残っていた。
「……ちょっ…、早瀬っ。何でこんな所で脱いでるの!」
思わず目を覆い隠す私たち。
彼は人目も憚らず、既に上半身は…裸。
筋肉質なカラダにドキドキしながらも……
みっちゃんと二人、こっそり指の隙間から……
男のカラダを見つめる。
多感なオトシゴロ。
「…だってこの後すぐ、部活に合流しなきゃいけないし。」
制服のズボンに手をやって。
「あ、別に見てもいいよ~。」
冗談まじりに、ケタケタと笑う。
…と、いっても。
少し下がったズボンから…
既にボクサーパンツと思われるものが、見えていたけれど。
一応後ろを向き直して…
会話を続ける。
「……。大変だね、部活と両立って……。」
「ん~…、慣れだよ、慣れ。どっちも出なきゃ追いつかなくなるし。」
「……。早瀬、頭いいじゃん。私なんかよりずっと……。」
「……。授業で理解しないと、家で勉強できないから…、要領の問題じゃない?これでも俺、必死。」
「…………。」
当時……
特進で運動部に所属しているのは、早瀬ひとりだった。
大学進学を目指す私達には、土曜日の授業のカラキュラムがあり……、
もちろん、サッカー部の部活動だってあるから、彼は人一倍大変だったであろう。
けれど……
それを噫にも見せない。
「……じゃ、また月曜日。」
そう言って、早瀬は軽々と…鞄を持ち上げた。
「………。え。早瀬、鞄に何も入れて行かないの?」
学校指定の手提げカバンを、背負って。
彼は不思議そうに…振り返る。
「毎日教科書持ち帰っても、どうせまた持ってくるだけじゃん?じゃ、お先に~。」
早瀬の机の脇。
床の上には……。
彼の教科書や、ノートが山積みに。


