「さわー……。」
「ん?」
「あのさ、今日なんの日か知ってる?」
「…………。………?」
「結婚記念日…らしーよ?」
「……。へえー、そうなんだ?」
ほら、見てみろよ?
今更さ、忘れてたとして、たいして驚きも…しないだろ?
進藤の言う通り。
俺も、それから―…
彼女も。
目の前の幸せを楽しむことが…できるから。
もう、過去にすがるようなことは…ないんだ。
だけど――…、時々、足を止めて。
ふと…振り返ってみると。
案外、新しい発見もあったりするから…
それはそれで、やめられないんだよね?
「……紗羽、話したいことがいっぱいあるんだけど。」
「……ん。じゃあ、寝かしつけてから…ゆっくりね?」


