その日、部活の指導を終えた俺は…
真っ暗になった外を、自転車で…走り抜けていた。
足を止める度に。
夏の…暑い空気が襲ってきて。
小休憩と、涼を求めるようにして――…
途中のコンビニの前で、自転車を降りた。
「いらっしゃいませー。」
店員の歓迎の言葉を聞き流しながら、迷わず向かったのは……
冷凍コーナー。
そこで…、3つ。
バニラのアイスを…手に取った。
それを…、レジへと持って行き、会計するその途中で。
店員の手が、ピタリ 、と…止まった。
「………早瀬くん?」
その人が、徐に…口を開く。
「………………?」
顔を上げて、相手と…対峙すると、
「……………………。」
確かに見覚えのある……顔だった。
………が、
名前が…出て来ない。
「高校で同じクラスだった……」
その人物が、そこまで言った時に。
血色の悪い色白の顔が…ポン、と脳裏に浮かんで来た。
「……進藤…、だよな?」
「なんだー、良かった!覚えてた。…久しぶり。」
「マジで進藤?…卒業以来じゃん。何してんだー、今。」
「見てのとーり、うちの商店を撤退して…コンビニのオーナーに。帰って来たんだ、ここに。」
余り…当時の面影が残っていないこの男は。
かつて、学校で献血して…真っ青になって戻って来て。結局保健室送りになったという…、武勇伝の持ち主…。『進藤』。
「変わったなあ…、お前。」
その姿風貌は、アゴ髭に…適度に日焼けした、いわゆる…「ザイル系」?
「うん。そりゃあ、はずかしい思いもしたし、大学に行ってから体力作りを欠かさなくなったからね。そっちは変わってないね。」
「そう?」
「うん。すぐわかった。」
進藤はひとつ…、にこりと笑うと。
「何だかんだ、早瀬くんとは縁があるんだなあ…。」
…と、しみじみと呟く。
奴の言葉に、俺はイマイチ…ピンと来なかったけれど。
「妹が世話になったみたいで。その節は、ありがとうございました。」
そんな台詞を…続けるから。
ますます頭が混乱してきた。
「……えっと。……え?」
「だから、『妹』。早瀬くんの担任のクラスの生徒だったらしいからさ。」
「……………。」
……は?
「進藤渚。」
「……進藤、渚…?って、はああ~っ?!」


