手にした写真を持ったまま。
俺は…次の目的地へと、移動する。
そこは……、
多分、気づかなない場所。
だけど、何かを隠そうとして探せば…、
きっと、真っ先に…目に入る場所。
子供心って言うモノは。
至って単純で…、それから、好奇心の塊で。
秘密基地のような、目隠しされた閉鎖的な場所が…好きなんだ。
やって来たのは…、視聴覚室。
放課後は、誰も使うことない――…ひっそりとした場所。
使用頻度も少ないから、生徒達にとっては思い出の場所とはなり得ないトコロが……逆に、目についた。
「確か……。……お、あったあった。」
教室の端、その……床に。
銀に縁取りされた正方形の扉があった。
平らになっている細長い銀の一部を、人差し指で…ひっくり返すと。取っ手が…出現する。
躊躇なく、その取っ手を引くと……。
「……予想…、的中。」
暗がりの中に。
一枚の…、写真。
それには。
クラスの…窓際で、俺と…男子生徒達がふざけ合う姿が写されていた。
入り乱れ過ぎて…、ごちゃごちゃしているけれど。何とも奴等らしい生活の一部が…そっくりそのまま生き写された感じだ。
『映志先生へ 「3年〇組 えーじせんせー!!」』
何処かで聞いたことがあるような、その…フレーズ。
それから…。
窓際でワイワイと賑わう光景は…、鉄板の…日常。
何で教室の窓際かって…?
ソレは…、察して貰いたい。
このポジションは…、大人になった俺が。
あの人の姿を…探すようにして。
そこに立っていたから。
昔の彼女と立場が逆転した…特別な場所なんだ。


