鮮やかな、スカイブルー。

閉じた窓の外からは、小さく聴こえる…蝉の声。

それとは、対照的に…。

寒いくらいに冷えた…職員室。


……と、


突如、ガラリ、と開かれたドア。
そこから、生温い風が…、一気に吹き込んで来た。





「映志先生、日誌…書き終わりました。」

「おー。ご苦労様、そこに置いてて。」

日直の生徒がやって来て、デスクの端っこへと…学級日誌が、置かれた。

毎日、繰り返される…この、光景。

変わったことと言えば、去っていく生徒達の…後ろ姿。

「…………。」


自分達が着ていたものとは、色も、デザインも違う…制服。それだけで、まるで他校にいるような感覚に陥ったのは…、もう、随分前の話。

人の固定観念ってヤツは。案外簡単に…崩れるものだ。



俺は、手にとったソレを…捲っていく。

「……ん?」



必然的に、あるページで…
ストップする。


そこには…、一枚の、写真。



「これは―…?」


記憶の回路が、カチリ、と音を立てるようにして。

懐かしい映像が…甦って来る。




「あれー?ソレって、田中ですか?」


「……そう…だよな。」


日誌を覗きこんだゆってぃーこと、油井先生が…ぽつり、と呟いた。



ブルーの…シャツ。
チェックの…ズボン。


懐かしい筈なのに、妙に新鮮に見える…制服姿。


写っていたのは。


数年前に卒業した…、男子生徒。