ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。

歩みを進めても。

行く先々は……真っ暗。


どうやら、幽霊屋敷みたいに。次は何が出て来るのかと…ワクワクとさえしてしまう。


「そーはいくか。」と、対抗心剥き出しで。


電気をつけぬまま…キッチンを抜ける。



彼女のことだから。


きっと、この先のリビングで……
俺を脅かすつもりだろう。



そう確信をもって。



入り口付近にある、ライトのスイッチへと…


手を伸ばす。





『カチッ』



………………



「………ん?」



部屋は…、真っ暗なまま。



「……ふーん…。手エこんでんじゃん。」



ライトにぶら下がっている紐を引けっていう…
手順?




俺は迷わずつき進んで。



手探りで…ソレを探しあてる。



暗闇に目が慣れてきたけれど、その、ムニっとした気持ちの悪い感触のモノを…

敢えて、見ないようにして。



鉄板過ぎるだろ?


大方、検討くらいつく。


紐の先に取り付けられているのは。


……爬虫類系。



でもさ、ごめんね。
俺、青大将とか首に巻けるくらい…全く平気なんだよね。




わざと驚いてやろう、と……


躊躇なく、紐をひく。










……と、



予想以上に眩しい光が…俺の目に突き刺さって。


蛇など見もしないくせに、わざとらしく…息を吸い込んだ。


叫び声を…上げる為に。









「きゃああ~!!!!!」




………ん?



声を上げたのは。




俺では……なかった。





リビングの…入り口で。

タオルを頭から被った…


真っ赤な顔した………







人参夫人!


もとい、



嫁の……、紗羽。





こともあろうに、


絞るような声で。



「へ…、ヘンタイ…。」



などと……呟くとは。



一体どんな了見だ!






「………ん?」



彼女が指差すのは……



俺の、手元。




ぷにぷにして、柔らかいコレは……?






「……………!!!」