ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。





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『酒豪のサワ』の片鱗を見たのは。


高校の…修学旅行の時だった。



女子が男子部屋に来るのは……コレまた鉄板の話で。


ただ、ヤツがいたことによって…


ちょっと厄介なことが起きた。




いつもの…イタズラ心のつもりだったのだろう。




仏に仕える身だから、俺は流石に手を下さなかったし、もちろん…、良い子は真似してもイケナイことだから、黙って見過ごすワケにもいかなかった。


けれど、事後報告とあっちゃあ…始末が悪い。



きっと、好きな男と夜を共にしていたから…、緊張で喉も渇いたんだろう。


紗羽ちゃんは、ペットボトルの飲み物を…一気に飲み干して。


しばし陽気になると。一気に…爆睡体制に入ってしまった。



「………。酒入ってるのに気づかない方がすげーよ。ってか、修学旅行だし…無礼講。まだまだ楽しく行かないと。…チャンスチャンス。」



とうとう周りまでもが悪ノリして…。


「……ぶっ……、明日の朝イチの反応…めっちゃ楽しみ。」



出来上がったのは……、『猫顔のサワ』。






「俺は知らないから。仏のみぞ知るってことで…スルーしとく。」




まあ、そんなワケで。

案外常識人な俺は…真っ先に逃げの体制に入ったけれど。



もちろん…、ヤツには責任があるわけだから、みっちゃんに耳打ちして…


ヤツに、紗羽ちゃんを部屋に送らせるように手配だけしておいた。








「……早瀬。」



彼女をおぶって、部屋を出たヤツに。


俺は…一応、釘を刺した。




「……なに?」


完全に毒っけの抜けた…顔して。

ヤツの気持ちは…駄々漏れだった。



「……送り狼には…なるなよ。」



タガを外しては…いけない。

でも、面白い展開過ぎて。思わず…ニヤけてしまったから。


どこまで本気で捉えたかは…分からない。







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