「ゲストの皆様がお帰りになりますので…、そろそろお見送りの準備の方をお願い致します。」
「……あ…、行かなきゃ…。」
「ん。」
早瀬は、紗羽ちゃんの前に…
手を差し出す。
彼女は、小さく頷いて。
俺が見ているその前で、迷わず…その手をとった。
これは……、覚めない『夢』。
二人にとっての…夢物語は、まだまだ…続いていく。
縁を結いて。
どこまでも…
続いていくんだ。
「しんちゃん、今日は…お陰で楽しかった。…ありがとう。」
紗羽ちゃんはそう言って。
また、俺に…
ひとつの温もりを与えて。
ドレスをふわりと…翻す。
目の前に広がる…鮮やかなブルー。
今日の、この、よき日の…空と。
……同じ色。
「………………。」
見るなよ、早瀬。
多分俺……、
今、すげー情けない顔してるから。


